初音ミクの唸り

飽きたらやめます

何も享受されないと知りつつ昔好きだったものを擦り、自尊心を満たす。自分があると信じるには丁度いい。変わる日々に変わらないものを見出そうと試みる。枯れ切った線をなぞる。 私は何もいらないが、灯りだけ欲しい

手記 12/27

年の暮れに相応しい目黒川には数多の想いが流れていた。あくる年の幸せを願う者、孤独を愛する者、サイゼリヤの看板、テイクアウトのうどんを抱える者。みな引き寄せられ、みな流れていた。あくる流れに願いを込める。池上線が川面を揺らす

無題

晴らすほどの鬱憤も無く、どんよりとした疲労と不安が積み重なる。以前のルーティンでは解消できない霞を蓄える。加速する日々が私を置いていくので、精一杯走るが、

手記 9/13

厚い雲が不穏な明るみをもたらす。鼠色の天窓。静まり返った室内にエアコンと扇風機が名残惜しんでいる。私が目を開けているうちは。 普通の生活へ踏み出すことの恐怖、普通の生活への愉悦感。時折り雨が降る。

手記 8/5

自由が丘第二踏切の手前、アスファルトにセミを見る。遮断器が上がり、赤いベンツ、黒いレクサスが横をすべる。二度歩行者信号で止まり右折。押し寄せる小学生の波に飲まれる。

揺れ

微かに映る景色。朝焼けのすこし後。滑走路を走る車輪が浮く。火花のように光る大きな鋼が猛々しく極東へ向かう。傀儡の矢は一筋の線を描くように泳ぐ

伊藤伸恵になれなかった

高1で無免許運転に喫煙。創作物ながら世間から逸脱した姿は憧れで、自分も逸脱すれば格好良いと思っていた。酒に煙草に博打に風俗と、俗物を過度に嗜むことが格好良いと思っていた。幼い価値観であった。俗物に縋り自己を築くことしか才能の無いことを認めた…

3分11秒

流行りの雑誌を積み上げた6畳間。染毛料の空箱。焼けた畳に煙草の灰。立て掛けたベース。ホコリを被ったダーツボード。ブラウン管に載せた置き時計とマスコット。JUDY AND MARY『BLUE TEARS』。ライターと整髪料と幾葉の写真。無造作に貼られたLAのステッカ…

大湊にて

事故ゼロ運動実施中!無事故記録1日目の看板。青々と佇む陸奥湾に掲げた缶ビールは青森駅のコンビニで買った。何もしなかった。時も流れなかった。人も来ず、音も風も来なかった。私と太陽だけが居て、ゆったりと太陽がもたれ掛かってくる。やがて凪に太陽が…

手記 5/12

数日経ち靄が晴れ動悸が早くなる。恐れていた心理状態の一歩手前に陥っており、衝撃ひとつで心の歯車が噛み合わなくなる気がする。昼は夜に、夜は昼に希望を抱く。暗澹と焦燥感の混じった汗が滲む。梅雨の晴れ間のように、一瞬だけ光が差す。幻やもしれない…

手記 5/1

マスクを外せば未熟な気怠さが突き抜けた。蚊が飛んでいた。上着をいつ手放したのか。 私は今をすべっている。何かを掴むことができず、すべり続けている。傾いている今から延々と。抵抗しているのかしていないのかわからない。抵抗の意味もないかもしれない…

無題

戻る場所もなくて進む脚もない。逃げる術もない。ビッグブラザーが見ている

未来予想図

キリンが首を凭れている。キリンは公園に穏やかな表情を振りまく。一年弱に及ぶ改装が終わったこの公園では、忙しない現代に生きる親たちに代わって偽慰安婦像が温かく子供たちを見守っているので安心だ。いま、私はここにいる。 目覚ましが鳴った。染井吉野…

無題

見慣れた街灯、過ぎ行く自転車。NECTARのなくなった自動販売機。ところどころ欠けた電光掲示板。ブログを辞めたい

手記 12/23

本を手に取り喫茶店へ向かう。思えばこの数カ月は自分の自由に時間を一切割いていない。数時間かけて読破したあと、安い酒を手に公園へ。考えることが去年と比べて格段と現実的になり成長を感じる。反面、奇を衒った言動が落ち着き衰えを感じる。少なくとも…

残滓

夕暮れの薄暗い部屋。扇風機の乾燥した風が夏の残滓をかき混ぜる。壁にかけた東條希の水着タペストリーが揺れる。暮れていく部屋を見回すと、この夏に立ち寄った施設のリーフレットが落ちていて心地がよい。今年はホットパンツ女児をあまり見かけなかった。…

無題

山も雲も近く、平凡な暮らし。退勤時間が午後五時で夏季休暇、有給休暇等、そこそこの余暇を取れる暮らし。30までには結婚し、35にはマイホームな暮らし。40代で役職を貰い、子供に満足な学業を受けさせられる暮らし。ある程度で子供も自立し、孫の顔を楽し…

無題

酒を飲まなければゼミに参加できず、飲めば飲むほどゼミ生との距離感が掴めなくなる。華やかな将来像を聞きたくない。自暴自棄な進路決定を肯定するために酔う。ゼミ生と距離が生まれ関係が消える。得るものは無い

サキュバス

勝浦の浜辺は黒かった。日も暮れ、あたりまえのような潮風が吹く。海が足を濡らす。濡れたサンダルを乾かすためにやわらかな堤防に腰をかける。安酒の揺れに海は静かに呼応する。黒を見つめ十数分経ち、いずれ黒に溶けてゆく身体。

無日記

朝、数ヶ月ぶりの最終選考に参加。元支店長のベテラン営業職員の男は表情が薄く、会話に抑揚が生じない。面接後、給与等説明の際、あっさりと読み飛ばされる見込み残業制度。薄い福利厚生。昇給テーブル非公開。何か給与面で質問ある?いえ、ありません 昼。…

潮窓

トンネルを抜けた車窓は日本海を映す。アルミ製の窓枠には「タカヒロが私のことを好きになりますように」と刻まれている。静かに駅に着き、うるさく発車する。14時49分、追良瀬駅を見送る。14時50分、古びた車輌を日本海が迎え、海は轟音を受け入れる

明星

桜も緑を取り戻しはじめ、春に焦げた花びらが隅に溜まっている路を歳の近い大人が似合わないスーツに袖を通し歩いてゆく。来年は、と戯言を言いつつ来年は、と考える。何も見ぬまま、感じぬままに春一番が街を抜け、あっと言う間に今がきていた。自分が社会…

2013年離婚

今日父に会ったら「お前が母を利用しすぎたのが悪いのだから、お前が責任を取れ」と言われた。

手記 3/5

その日、東京タワーは歪んでいた。大きなビルの格子状のガラス窓、歪に光を落としていた。日比谷の綺麗な洋服店の大きなショーウィンドウに酒を持った男が暗く映った。歩行者信号が青に変わる直前の、人がそわそわしだす瞬間が嫌いです。夜なのに皇居外周は…

虫取り

7歳。暑い夏の日の朝、友達の新関君と住んでいるマンションの公園に虫取りに行った。新しく買ってもらった虫かごと、一度新関君に直してもらった虫取り網を携えていた。若木の支柱に大きなクワガタムシを見つけ、そっと近寄り大きく振りかぶって…。 友達はジ…

a

やる気が起きずUSA RadioのKISS/FMを垂れ流す。偶に体を翻しては星のカービィを視聴する。俺ッチも〜人身売買〜しよっかな〜笑 以上です

クソ記事

俺の全部を鼻で笑う男たち。扱いにくい俺の過去に触れ、これは駄目だなとあしらう男たち。俺を知るほど投げやりな態度になる男たち。靖国神社の喫煙所が移動していた。首都高を下から見るととてもデカイ。ハローワークのロゴは「ロ」の右の縦線がほぼ「ノ」…

終了

ようこそ。今日は気遣い、緊張要りません。リラックスしてお掛けください。貴方にとって有意義な時間を過ごせればと思います。自分の話をしてもよし、アタシの話をしてもよし。就活について質問があればお答えします。自己分析がまだ、ということですが、ま…

手記 11/20

月が出ているらしい。今の席からはわずかも覗けない。大崎の人気のない広場では噴水がけたたましく噴き上がっている。家路を急ぐサラリーマンが広場を横切る姿は安酒の肴としてうってつけで、自分が社会の歯車になっていないことの証明になっている。安心感…

手記 10/24

季節の移ろいを呑気に眺めていると大学3年の終盤に差し掛かっていた。マジョリティに反抗し怠惰を極めた3年間は何の役に立っただろうか。確固たる自分が欲しくてあらゆるキャラクターを自己としてきた結果自分は何になれただろうか。今年も着々と目黒川のラ…