初音ミクの唸り

飽きたらやめます

未来予想図

  キリンが首を凭れている。キリンは公園に穏やかな表情を振りまく。一年弱に及ぶ改装が終わったこの公園では、忙しない現代に生きる親たちに代わって偽慰安婦像が温かく子供たちを見守っているので安心だ。いま、私はここにいる。

 

  目覚ましが鳴った。染井吉野が じきに咲き乱れるだろう。交番と交番を結ぶ緩やかな坂はのびのびとしている。稀に飛び出す子供に、危ねえだろ、と怒号を浴びせる肝はない。夜になっても通行量は減らない。いま、私はここにいる。

 

  机に頭を凭れている。目覚ましが鳴った。家と会社を繋ぐ電車はピリピリとしている。ミスを連発する社員に、やる気があるのか、と怒号が飛ぶ。忙しない現代を生きることに活力を見いだせぬまま辿り着く公園。きっと私はここに来る。