初音ミクの唸り

飽きたらやめます

夏の尾を掴む

彼岸花を見つけた。隣の緑に凭れている。彼岸花も河川敷では細やかな朱。銀色の蜻蛉、番が私の前で八の字を描く。熱い日差し、昨日買った紫の長袖シャツを下さなくて良かった。風が強い。髪は乱れるし、雨を予期して持参したビニール傘が邪魔になる。

 

河川敷から祖父母へ電話を掛けた。90歳近い祖父は以前より優しい声色で、老いを感じた。簡単な冗談を交えた、ものの5分程の電話。最近はどこにも出掛けていない、畑との往復だけだよ、と笑う祖父。幼い頃は嫌々と夏野菜収穫の手伝いをしていたのに、また収穫手伝わせてよと乞う孫。大きく風が吹く。

 

高く掛けられた橋の下にはうす暗い公園がある。鉄棒に集う子供らがいて感心した。続々と子供連れがやってきた。賑わいを横目にくれながら進んだ先は行き止まりで、でも広く川を見渡せた。