初音ミクの唸り

飽きたらやめます

今日も自転車に乗った老人はヨロヨロと歩道を駆け抜け、私の感情は無に徹し、ガラケーが似合う女子高生三人組はペットショップで犬を眺めていた。

四月になり、生活サイクルが変わったせいか頻繁に女子高生を見かけるようになった。シワひとつない制服とパツンと膨らんだ鞄、満員電車に揺られる新一年生の姿が必死でかわいい。

春を彩った桜の木も緑に包まれ、ピンクの風は止んでしまった。日常に日常が帰ってきた。明日は雨が降るらしい

パンケーキ

原宿でパンケーキを食したことがある。丁度春のこと。大学に入学したての私と友人は新生活の話をつまみに甘ったるいパンケーキを貪った。甘ったるいパンケーキには生クリームとアイスクリーム。その上からトロリとメープルシロップを纏ったテカテカと輝くそれを、これからの希望に満ちた大学生活の化身であると思い込んでいたのだが、私の大学生活は水のように味気のないものだった。

昨日は映画を観に行った。一組の若い男女に降り注ぐ一夜の出来事の話。上映後、私は多幸感より敗北感を抱きしめていた。これだから青春コンプレックスは嫌なんだ。

家に帰れば暖かい部屋、冷たい家族。学年が上がり、慣れない生活に現実は牙を剥く。味気のない大学生活は正直飽きた。だけどどうしても甘いパンケーキは手に入れられない、原宿は性に合わなくて