初音ミクの唸り

飽きたらやめます

小湊鐵道養老渓谷ゆき

  まだ青い実りがさわさわと、優しく受容するのは豊穣の女神が微笑むからではなく。

  まもなく発車した小湊鐵道養老渓谷ゆきは小さな加速をする。まばらな屋根に浮かぶ入道雲は青のハイライトに溺れている。木々が青の調べを奏で、そのせいか車輌も共鳴しているように思える。車内の扇風機が菜の花の残り香を掻き消している。待ち構える木造の駅舎がかろうじて保っているのを私は知らない。線路端に青が生きている。日光が利用客の携帯に反射し目を突き刺した。列車は月崎駅に到着する