初音ミクの唸り

飽きたらやめます

回想録、廃人

廃人になりたい。誰もが期待をしない、手を差し伸べない、近付こうとしない、大変なろくでなしになりたい。昼夜問わず道の隅で座り込み世間を見下した目で街を見守る。さながらゴミ。比喩にさえ見放された存在に私は憧れる。私にとって廃人はかっこいいのだ。

幼い頃から親が厳しく、少しでも親の示す道を踏み外そうとするものなら厳しく叱られた。田舎に住んでいるクセに親がゲームを毛嫌いしていて、友人とコミュニケーションを取れず苦悩した記憶がある。というより苦悩の一言に尽きる幼少期だった。

いつも遊ぶ仲の良い友人がいた。私の小学校には「友達同士で学内から出てはいけない」という掟が存在した。そんな掟を軽々と破る友人と知り合い、二人で、時には複数人で自転車を30分漕ぎ大型スーパーに意味もなく突っ走ることが多々あった。掟は破るためにあったことを知る。

常に反逆者で突拍子もなくドデカイ夢を語り出すような友人だったのだが、今は当時の面影はなくクソ真面目に生活している。クソッたれ。人は変わる。共に門限を破った、こっそり親に取り上げられたお年玉を握りしめ駄菓子屋に駆け込んだ、公民館の雑談スペースを占拠して大声で騒いだ、学校で禁止されてたエアガンで遊んだ、思い出すだけでヤケ酒をせざるを得なくなるのだけど、この状況がどうも嫌いになれない。廃人はかっこいいのだ