初音ミクの唸り

飽きたらやめます

手記 10/26

三者面談の帰りと思しき母とその娘が横を過ぎた。揚々とした女性特有の甲高い音が、長く放置された古く厚ぼったい鼓膜を鋭く叩いた。学校指定のジャージに後ろに束ねただけの黒い髪が特徴の娘が絶妙に芋くさく、彼女を愛おしく思ったも束の間、すぐさまどうしようもない過去の記憶に神経を支配された。記憶の中の女子中学生は私を軽蔑し、あらゆるトラウマを植え付けた。一通り耽り終えた頃には母娘は跡形もなく夜に消えていた。孤独は二人の存在を拒否していた。