初音ミクの唸り

飽きたらやめます

紺色で、ナイロン製の

国産和牛の特売に走る主婦も、機械的にニュース原稿を読む午後のアナウンサーも、乾く畑でキュウリを収穫する首にタオルを巻いた老婆も、みな揃って、スクール水着を、終電帰りコンビニで割引スイーツを手にするOLも、カモメが泳ぐ熱い防波堤を慎重に歩く女子高生も、ブランコを目一杯漕ぎ靴飛ばしをする女子小学生も、みな揃って、スクール水着を。男も、みな。

俺はスクール水着を着ていない。白のシャツと、ユニクロのパンツを拵えてビーチサンダルを履く。紺色で、ナイロン製のスクール水着は国民服となり白シャツを迫害する。天皇一族は高級な学生用お水着を着られ始める。着用せぬ物 不敬罪。クールジャパンを見事に体現したスクール水着は瞬く間に宇宙へ発信され、今もなお秒速999999999kmで宇宙をスク水色に染め続けている。一方、渋谷では白シャツデモが昼夜問わず行われ、たった今、白シャツ発見即射殺法案が可決した。スクール水着は純潔なイメージを失い、殺戮マシーンへと豹変した。発砲音は雑音にまで成り下がり、スクール水着による歓声が湧き上がる。射殺される俺。スクール水着を着せられ棺桶に棄てられる、とうとう浄化されたなと死んだスクール水着に言葉を投げるスクール水着。弾圧に負けた白シャツは群衆の前でスクール水着に炙られ大便器に流された。ユニクロのパンツは有志によりアフリカに送られ、後日ユニクロパンツを履く笑顔の少年の写真が届いたが過激派スクール水着により炙られ大便器に流された。

スクール水着は大好きです