初音ミクの唸り

飽きたらやめます

銀座と鳥皮

私は燦然と輝く人々に気後れしながら銀座を歩いていた。プラダエルメスを提げシャネルの口紅で彩られたマダムが、ロレックスを身につけアルマーニを着こなす白髪混じりの紳士がこの街の主役であり、長らくオタクタウンに染まってきた私を受け入れる素振りを一向に見せないのも分かりきったことだった。その時銀座では歩行者天国が行われていて、道行く人のパリ・コレを彷彿とさせる見事なウォーキング、とは言わないが、みなの溢れんばかりの自信と富がいやらしいまでに伝わってくる。

中央通りをしばらく歩くとオープンしたての商業施設、「GINZA SIX」が見えてきた。SIXはオープンまもないこともあり人でごった返していた。10m程の短命な入場待機列を終え入館するも、予想通りの評価をせざるを得ないと悟る。館内の隅々まで行き届いた高級ショップとツヤツヤと光沢のある床、吹き抜け部には大きな存在感を示す有名デザイナー作のオブジェが吊るされており、これでもか!とゴージャスさを押し付けられる。ここは銀座のゴージャス感を上手く醸し出しているが、各フロアに於ける休憩用の椅子が非常に少なく(無いフロアもある)、銀座の再現率の高さには頭が上がらない。

夜の銀座は更に排他的だった。そのため私は中央通りから少し離れたビルとビルの間、専らディープ一直線な裏路地にある鳥料理のお店で焼き鳥を頬張った。ザギンのシースーなどと言われるがザギンの焼き鳥も中々粋に感じる。カリっとジューシーな鳥皮はクセになりそうだ。店を出ると冷たい追い風に押され、あっという間に有楽町駅に着いた。店は銀座駅より有楽町駅の方が近かった。

帰る足取りは重かった、というのも、決して銀座が名残惜しいのではなく、金と欲に浸された街に心が吸われてしまったからだった。銀座は疲れる